御挨拶

2017年1月16日月曜日 快晴 

 

真冬の風は冷たく、手が凍ったのか麻痺して上手く指が運ばないディスプレイ上のキーボードを打つ小田急線に一駅だけ乗り降りする高円寺ファッションの童顔黒髪ボブカットがこのブログの運営者、主である「わたし」だ。

 

そう書いているうちにたった今、乗り換えの路線の電車が来た。

わたしの住んでいる街は酷く平和で、死にたくなるくらい平和で、わたしは12歳まで区内に自分で入ろうとしたことがなかった。何故12歳のわたしは「池袋」に憧れを持ったのかと言うと、当時小学校で流行っていたひとつのライトノベルの所為だった。「池袋」に12歳に行ったそれきり、自分の意思で来たのは4年後16歳の冬で、ソープ風俗の建物が在った路地のビルの一室に短期バイトの説明会に行った時だった。短期バイトの登録をし、次の日からお菓子工場で箱詰めを2日ほどしたが、今までで一番辛い仕事であった。そういえば、もうすぐその日に近づくなあ、と思う。

 

さて、そうこうしてるうちに地元に到着し、わたしは家に帰るために歩く。

今日もこの街は平和だ。ここは池袋にも新宿にもなれない、嘔吐物さえも何も産み出さない街だ。もう在住歴は10年を超えた。わたしは自分を少しでも自分を変えたいがために、イヤホンをさしたiPod nanoと小銭入れとスマートフォンだけダメージジーンズのポケットに入れ、夜のこの街を聴きながら散歩をしたことがある。だが、痴漢や恐喝などをしそうな所謂危ない人、わたしの様に深夜徘徊をしている精神病患者的な人間は誰も居なかった。毎週しようと計画していたその行為は、この街の何も無さに絶望して、その日に辞めた。ただ、ただつまらなかった。イヤホンから流れてくる騒がしい音が、今夜はなんだか悲しくて、さすがに秋の終わりはもう寒くて、もっと悲しくなった。深夜徘徊をした日の昼、恋人に会った。「昨夜の深夜徘徊、楽しかった?」と興味深そうに聞いて来た彼に「酷くつまらなかった」とわたしは彼に悪態をついたのかはもう忘れてしまった。

 

そしてそんなこんなで今、帰宅した。

昨夜は殆ど寝て居なかったのに、頭が冴えて、こんなブログアカウントを作ってしまった。「今日は何するの?」と友達からたまにラインが来る。今ふと、「今日はこれから何をするのだろう」と思った。ずっと意味のある生活がしたくて堪らなかった。人の人生を変えれる様な、そういう漫画みたいな生活。「わたしに、あと何年かはこの街で、やって行けるかな」と呟いたとしたらわたしの友達は「やって行く、んだよ」とハイボールを飲みながら言うのだろうか。